1.界面活性剤で汚れが落ちる
2.スキージーの滑りが良くなる
3.取り残した水滴の跡が劇的に消しやすい
私たち掃除屋さんが現場でガラス清掃に使用する溶液は「食器用洗剤を薄めたもの」であることは以前書かせていただいたかと思います。ガラス専門で作業している方たちも当然のことながらこれを使ってます。
実はこれには作業効率に関する深い意味が隠されているんです。
今回はこれについて書いてみたいと思います。
界面活性剤で汚れが落ちる
食器用洗剤というのは界面活性剤のかたまりみたいなものですが、本来交じり合わない油と水を上手く交じり合わせるという界面活性剤本来の働き以外にも、物理的に落とすしかない汚れと素材の間に水を差し込み、素材から汚れを分離させるという働きもしてくれます。
これは後日触れたいと思いますが、コンロの五徳のコゲなどにもこの働きを応用した作業を意図的に施すことによって今までよりも楽にコゲを落とすことが可能になります。
ガラスの場合そこまでひどい物理的な汚れは付いていませんが(雨染みなどは除く)、水だけで汚れを除去するよりも微量でも界面活性剤を入れておくことによってホコリや砂などの汚れをよりスムーズに除去することが出来るのです。
スキージーの滑りが良い
一般のご家庭で使用されている方はあまりいないかもしれませんが、私たち掃除屋さんはガラス清掃の際にスキージーという車のワイパーのようなゴムの付いた水切り用の道具を使うのですが、
こういった物ですね。
食器用洗剤を薄めた水でガラス表面を事前に濡らしておくことによってこのスキージーの滑りが良くなります。
こういったシャンパーといった道具を使用してガラス全体に洗剤を塗布したうえで、
スキージーで水を切るわけです。
車のワイパーでもそうですが、上手く滑らないと水の取り残しの跡が付いてしまいますよね…。それが乾くとそこだけ白く汚れが浮き上がってきてしまいます。
いかに取り残しなく水を切れるかが大事になってくるのですが、そのためには潤滑剤としての食器用洗剤の働きが重要になってくるのです。
取り残しの水滴の跡が劇的に消しやすい
実はこれが一番の理由だと私は思います。
朝から晩までガラスだけを清掃する方々は当然のことながら、ハウスクリーニングを生業とする私どもなんかも相応のスピードが必要になってきます。
一戸建てのクリーニングの場合、「サッシ、サッシレール、ガラス、網戸、雨戸」といった窓周辺のパーツなども、ごく普通サイズの4LDKですと一人で一日で終了させるだけのスキルがなければ商売としては成り立ちません。
この中のガラスに関しても上記のボリュームでしたら20~25組くらいが相場でしょうか…。それが左右の引き戸になっていれば合計で40~50枚のガラスが存在するわけです。しかも表と裏ですから80~100面のガラスを一日で綺麗にしなければいけないわけです。しかもそれ以外に網戸や雨戸は洗って、サッシレールも手を入れなければならない…。
必然的に一枚のガラスに関わっている時間なんてものは1分もかけてはいられないわけですね。
でもどんなにスピーディーにシャンパーとスキージーを操っても最後に取り切れなかった水滴の跡が残るものです。これを仕上げにふき取っていかなければなりません。
で、この水滴というのが厄介でして、アルカリ成分が強いと結構がっちりとガラスにこびりついてしまいまして、かなり強くこするか再度水を付けたうえで乾拭きするか、ひどい場合は剃刀の刃などで削らなければならなくなります。(掃除屋さんであれば過去に一度は失敗したことがある事故だと思います。)
じゃあ、水だけなら心配ないんじゃない?と思われるかもしれませんが、水だけでも水滴が乾いてしまうと結構取りにくくなってきます。
要は最後の仕上げに予想以上に時間がとられてしまうという結果になるのです。
それでは食器用洗剤を入れた溶液でガラス清掃をしたときはどうなのかというと、残った水滴の跡はマイクロファイバークロスでサッとひと拭きしてあげるだけでいとも簡単に綺麗になってしまうのです。
ドア取っ手の左側に水滴の跡が見えますでしょうか?(ガラスの汚れを撮るのって黒猫の写真を撮るのと同じくらいに難しいものですね…。)
これを、
こうやってクロスでひと撫でしてあげるだけで、
このように跡形もなくとれてしまうのですね。これは水滴の中に界面活性剤が含まれているがゆえに成しえる現象なのだと思います。
全てにおいて「時間、効果、仕上がり具合」をシビアに求められる業者だからこそ行き着いたガラス清掃方法なのだと思います。
もちろん自宅のお掃除にそこまでの時間的制約も、仕上がり具合も必要はないでしょうが、どうせどこのお宅の台所にもある洗剤ですから、試しに今度のガラス清掃時には試してくださいませ。
ガラス用溶液の作り方
最後になりましたが、このガラス用の洗剤の作り方を紹介しておきます
…って、作り方なんていう難しいものではないのですが…。
バケツに2Lくらいの水を汲んで
そこに食器用洗剤を入れます。銘柄は何でもOK!私はこの80円台で買った洗剤を使いました。
これを2押しほどチューチューと入れたらおしまい。
手でかき混ぜると、このくらいの泡立ちがします。
この程度で全然OK。この溶液で濡らしたウエスでガラスを拭いて、その後に乾拭きすれば良いのです。
出来れば水拭きも乾拭きもマイクロファイバークロスでやると効率は良いかと思います。
それでは皆様頑張ってください。
最後に以前撮ったガラスの動画を載せておきます。入れる食器用洗剤の量や、仕上げのふき取りに一回しかクロスで撫でてないところなど、上記記事の内容が確認できますのでお時間があれば見てやってください。(動画の中のニャンコはうちの次男坊です。どうでも良い話でスミマセン…。)
コメント
長い間とてもとても苦労してたガラス窓の掃除、
この記事で、あら、嘘というくらい、ピカピカに綺麗になっちゃいました。
それも、ものすごく短時間の作業で。
今までの苦労は、、と黒歴史を振り返っちゃいましたよー
市販のガラス掃除用洗剤使ってもダメ、ネット情報の新聞紙でこするのもダメ、ホースで水をかけたりお湯で流してもダメ(真冬にしたら網入りガラス割っちゃうところでした)流行のセスキスプレーかけてもダメ、アルカリ電解水かけてこすってもダメ、インテリアショップの店長が、ガラステーブル拭きにいいですよとプレゼントしてくれたスウェーデン製のクロスでもダメ、、
コメント途中で切れてごめんなさい。
この記事の通りに作業したら、今まで苦労なんだったのかしらというくらい、綺麗にできました。
(もちろんプロの方から見たら、まだまだのし上がりでしょうが、我が家にとっては、ガラスがないようなスケスケ感、)主人まで、驚愕して、拭き残しの水滴を一緒に、クロスで拭いてくれました。
makiさんへ
ありがとうございます。
色々と試されていたんですね…。
先日お会いした際に「シリカパウダーを扱っている工場の事故」の件について少し触れましたが、陶器の表面はガラスと同じなんですよね…、そのうえで少し立ち止まって考えてみると、お茶わんやお皿などの食器もまた陶器なわけで、それを綺麗に洗浄するのが食器用洗剤…。
ということは、食器用洗剤はガラスを綺麗にするのに最適なアイテムだということなんです。
どうしても私たちは食器とサッシのガラスは別物だという先入観がありますから、「えっ?」って驚いてしまうのですけれども、冷静に考えてみると「そりゃ、そうだよね…。」と妙に納得してしまう道理なんですよね。
来月またお会いできるのを楽しみにしております。
今後ともよろしくお願いいたします。