これまで家庭で出来るスケール除去の限界点というものをお話ししてきましたが、最後に色々なスケール除去洗浄剤の性格をみていきたいと思います。家庭の奥様方にはあまり関係ないかとも思いますが、中には一般用に販売されているものもありますし、また要領よく汚れを落とすセオリーというものもまた記事の中から読み取って下さる奥様方もおられるかと思います。
今後のお掃除の一助になればと思い、とりあえずアップさせて頂きます。
洗浄剤によって落とせるスケールのレベルは違う
ホームセンター等でも「スケール除去(鏡のウロコ落とし)が出来る!」とうたっている製品は多く目にしますが、買ってみて「ドンピシャ!」で落ちた洗浄剤というのはあまり無いのではないでしょうか。
それは地域による水質の違いからくるもの(いわゆる相性というやつですね。)もあるでしょうし、落とそうと思っているスケールがどれだけ厚いのか薄いのかによっても結果は違ってくるのだと思います。(薄い物には抜群の結果を出せても、厚いものには変化が出たようには殆ど見えないものもあります。)
また、前回の記事のように付着している素材の違いにより「落ちる」「落ちない」が変わってくるというのもまたあると思うんです。(一般的な素材に付着したスケールは溶かせるが、鏡・タイル・陶器と一体化したスケールは溶かせない…、といった違いですね。)
このようにスケールの場合は油汚れを除去するのと違って、さまざまな条件によって落とせる洗浄剤が変わってくる…、相当に厄介なしろものなんですね。(油汚れは簡単なように思う方もいるかもしれませんが、実は油も厨房で使用している油の種類が変わると一気に落とし辛くなるものもあるので、簡単とは一概には言えませんがスケールほどバリエーションには富んでいませんので…、ある意味単純ではないかと思います。)
それでは、最近入った現場で色々とテストをしてみましたので、それを紹介したいと思います。
この現場をキレイにするためにテストしたレポートです。
非常にス・テ・キ…♡な現場でしょ?
鏡と蛇口の間や、蛇口と浴槽の間の汚れなんかはおそらく石鹸カスや皮脂汚れが主だとは思いますが、それらを先に除去してやっても、おそらくシャワー横(浴槽上)のようなスケールが今度は顔を出してくるのは容易に予測が付きます。
これをどう処理するか…、が問題なんですよね。
この現場の問題点はここだ!
じつはこの現場、非常に厄介なんです…。
なにが厄介かっていいますと、この茶色い壁なんですよね。
これが横の壁みたいに白っぽいと言いますか、アイボリーといいますか…、こういった色だったらスケールを落としきらなくてもあまり目立たないんですよね…。
えっ…?
私はちゃんと落としていきますよ…。たとえ目立たなかろうが何だろうが、汚れはちゃんと落とします…。一般論です、一・般・論!
とにかくこの手の濃い色の壁は少しでもスケールが残っていれば、壁が乾くと思いっきり白いスケールの跡が出てくるわけです。ゆえに完全にスケールは除去しきらなければなりません。
その手間に時間がかかるという事もあるのですが、それ以上に厄介なのは壁の変色が目立つという事もあるのですね。先日の記事でグレーの床やエプロンには絶対に酸性洗剤は使わないようにと注意を促しましたが、グレーの床材の場合は色が抜ける(白っぽく変色する)危険性が大なのです。
この壁はグレーではありませんが、仮に色が抜けてしまった場合、それが微々たるものであってもメチャクチャに目立ちます。だから絶対に変色の事故は起こせない…。ようはスケール除去のためには酸性洗浄剤を使用するしかないのですが、全く変色しない相性の良いものを選択する必要があるという事なんです。
これは後から発覚したことですが、この壁のスケールを全て落としきった後に出てきました…。変色の跡が…。
以前入った業者が鏡にフッ酸を使用したみたいだと以前書きましたが、その鏡の下の目地周辺に明らかにフッ酸が垂れた跡が本来の色よりも濃く出ておりました。例えて言うならばアルミ製品がアルカリ焼けを起こした跡のようなものです。
アルカリ焼けというのはこういうやつです↓
上の部分がまだらに濃く変色していますでしょ?これは油を落とそうとしたアルカリ洗剤が強すぎてアルミが焼けて変色してしまった跡なんです。これはこれで軽度であれば復元できますので、又の機会にお話しします。
ちなみに復元したのがこれ↓
所要時間3分程度ですから御自宅にアルミのフイルターがある方は是非試してね。(っていうか、まだ説明していないけど…。)
話が逸れてしまいましたが、上記のような感じで茶色が薄くなるんではなくて、濃くなってしまっていたのです…。これはこれでアチコチが濃くなればえらく目立ってクレームが来ますよね。
というわけで、濃い色の壁材は多少の変色もまた御法度!ということなのです。
それじゃあ、研磨で対応すれば?ってな発想が湧くわけですが…、
これもまた難しいのです。
ビルメンで床をバリバリやっている方はすぐに想像がつくかと思いますが、濃色の素材に細かな傷が入ると、これもまた乾くと思いっきり白く色が出てしまいます。ビルメンの場合はその後にワックスを塗布するのが前提ですから、どんなに床が傷で真っ白になろうともワックスを塗れば濡れたような色を出すことが出来ます。しかしながら、お風呂の壁の場合はそうではない…。そりゃあ開き直ってとりあえずスケールだけ落としてコーティング剤を塗るという手法(外壁タイルの手法ですね…。)もあるのでしょうが、出来ることならそういうのは最後の手段にしたい…。
ってなことで、変色を引き起こすほどの研磨も避ける…。
するってえと、何かい?
酸性洗剤もダメ、研磨もダメってんじゃ、後はゴメンナサイ m(__)m するしかないってことかい?
となっちゃうんですが、そこはとりあえずお掃除でオマンマ食っている者としては何とかするしかないわけです。
つまり…、
変色を起こさない酸性洗浄剤を探り当て、傷をつけない研磨剤を選ぶ…。かつちゃんと工期に収まるだけの短時間で除去を完了する効率の良いギリギリの線…、まさにピンポイントの「これしかない!」という洗浄剤と研磨剤の組み合わせを見つけだすこと…。
これってすごい難しいことなんですよ。老眼鏡を使わずに針の穴に糸を通すくらいに難しい…。
まぁ、若い子たちにはこの譬えは分からんだろうが…。
テスト開始
それではテスト開始です。
今回はアイキャッチ画像にも載せました以下のようなラインナップで試してみます。
これらは全てスケールを溶かすという性格を持っている洗剤及び洗浄剤です。一番右のGSRという製品以外は全て酸性の成分を含んでいます。これらを一つ一つ現場のウロコに試しながら、どれが一番効率よく落とせるのかを試していきます。(ちなみに一番左の「茂木和哉」と右から二番目のサンポール以外は残念ながら業者用洗浄剤です。ですから基本的に一般の奥様方は買う事は出来ません。)
まずはGSR。スズキのオートバイみたいなネーミングですが、スズキとは関係ないはずです。多分…。ミネラル成分でスケールを落とすというのがセールスポイントです。実際に鏡のウロコはこれで落ちます…。が、軽度の物であればの話で、相当にキッツイものは時間がかかると思います。研磨剤も入っていないので素材を傷つける心配は少ないのですが、逆に言えばそれだけ落とすまでには時間を要する…。つまり、傷つきやすい素材のスケールを落とすには多分これが一番の有力候補となると思いますが、そうでない素材には少し物足りないかもしれません。むしろ傷つきやすい素材に特化した使い方をしてあげるのが良いかと思います。
次に私の恋人サンポール♡
何を隠そう、うちの奥さんよりも付き合いが長いのですから…。(ちなみにうちの奥さんとは今年で銀婚式です。自分で自分を褒めてあげたい…。)
というのはどうでも良いのですが、私にとってはこれが全ての物差しになる一品です。これよりも落ちるのか、それともダメなのか。
とにかく絶対的な安定感のある製品だということで、これはもちろん参戦。
これは、プラザ・オブ・レガシーという会社のアク洗い時のしみ抜き剤です。成分は有機酸としか書かれていませんが、私はガラスの雨染み等もこれで落としておりましたので今回は期待して試してみました。
これは私がシンクの動画やお風呂の動画において蛇口に使用していたマクビーという洗剤。私が使用しているクエン酸よりも少し強いようですが、とにかく金属を変色させないという点が気に入ってます。ただ、今回の場合は金属は関係ありませんから、どこまで希望に沿った効果を発揮できるかは未知数。
こちらは上記マクビーと同じ会社で販売されているビビアンという洗剤。クエン酸が主成分という事ですが、マクビーよりも頑固なスケールに対応したものらしいです。確かにスケールに直接かけるとすぐに泡を出して溶けはじめます。が、この洗剤を引っ張り出すときはいつも他の洗剤では歯が立たないときだったもので、過去に頭をぶん殴られるほどの衝撃を受けたことは残念ながらありません。
茂木さんの「きれい研究所」の製品「赤鬼」。瞬間水あかクリーナーは鏡などのシリカスケールに特化した製品だと思いますので(もちろんそれ以外にも効くのでしょうが。)、鏡以外のこういった場所にはこちらの方がより効くのではないかと予測しました。今回一番期待した製品でもあります。
そして「瞬間水あかクリーナー」、鏡や陶器と一体化したスケールを溶かすにはもってこいの商品です。ただ、今回の壁に付いたスケールはガラス質のものと一体化している訳ではないので、その成分が勿体ないというか、むしろそれ以外の成分を豊富に含まれている方が効率的だろうなという考えはありましたが、もし相性が良く効率的に落ちるならこれもありかもと思って試してみました。
さて、一番有名な「茂木和哉」です。この現場を請けてから色々調べて初めて導入した商品です。甲子園で大活躍した選手を見事獲得してプロ野球の世界でどこまで通用するのか…。そんな期待を背負ったルーキーの実力のテストみたいな感じでしょうか…。
でもって、試験結果はこれだ!
ガチョ~~~~ン!
パッと見は変化なし…。
ちなみに上の画像に試験箇所を重ねるとこういた感じ…。
ただですね…、
こすっている間にスケールが落ちつつある微妙な感触を指が捉えたものは実はあったのです。
ってなわけで、テスト第2段階に突入!
長くなってしまったので続きは次回に…。
コメント
貴重な情報をありがとうございます。
いつも楽しみに見ています。
すごく勉強になりますし、掃除の励みになります♪
頑張ってくださいヽ(=´▽`=)ノ
ak様
いつもお世話になっております。
SNSと違って一方通行になってしまいがちなブログなものですから、こうやってお声をかけて下さると本当に嬉しいです。
少しでも皆様の有益になるような記事を書けるよう心掛けていきたいと思いますので、今後とも何卒よろしくお願い致します。